POMについて

昨日があまりにも適当すぎたので、POM(ポリオキシメチレン/ポリアセタール)についてちょっと詳しく。

構造

元はポリアセタール(PolyAcetal,-C(ORa)(ORb)-)のうち、オキシメチレン(OxyMethylene,CH2O,ホルムアルデヒド)の共重合体(ポリオキシメチレン)を示すが、現在ではポリアセタールと言うとほぼ間違いなくポリオキシメチレンのことを表す。
市販されている材料では特にDu Pont社のデルリンとポリプラスチックス社のジュラコンが有名で、前者はオキシメチレン単位(-CH2O-)のみからなるホモポリマー、後者はオキシエチレン単位(-CH2CH2O-)を含むコポリマーの構造をとっている。
ただし、どちらもそのままでは熱分解しやすいため、無水酢酸等で末端構造をアセチル(CH3CO-)化して熱安定性の改善を図る。
両者とも特性はほとんど変わらない(使用者側が区別する必要はほとんど無い)が、厳密にはホモポリマーであるデルリンが若干熱特性・機械特性に優れ、コポリマーであるジュラコンが若干化学的特性に優れる。
どちらの製品もガラス強化グレードや耐熱グレード、高摺動グレードが存在する。
自然色は白。

特性

機械的には、引張強度・弾性率が強く、耐摩耗性・摺動性に優れるため、機構部品(構造部、摺動部)に多用される。
化学的には、有機溶剤や塩には強いが、酸やアルカリには耐性が低い。
成型収縮率が大きいため、特に厚肉部品や平板構造あるいはリブ・ボスの多い構造を射出成型するときはヒケ・ソリに特に注意する必要がある。また、被削性はよいが接着性は悪い。

比重 1.4-1.45
ロックウェル硬度 HRM90,HRR120
引張降伏応力 60-70MPa
破壊ひずみ 20-75%
引張弾性率 2.5-3.0GPa
圧縮降伏応力 95-130MPa
曲げ強さ 80-100MPa
テーバー磨耗試験 5-20mg/1000
連続耐熱温度 90-100℃
荷重たわみ温度 160-170℃(0.45MPa),110-120℃(1.8MPa)
脆化温度 -40℃
線膨張率 0.25(W/m)K
体積抵抗率 1016-17Ωm以上
耐電圧 25-35MV/m
誘電率 3.0-4.0(1MHz)
吸水率 0.22-0.25%

※物性は代表値・参考値です。